英俳優ベン・ウィショー(Ben Whishaw)さんに関するブログ

2014年08月04日

「なぜぼくは……」The SUNDAY TIMES MAGAZINE (3 August 2014)(8/20追記有)





http://www.thesundaytimes.co.uk/sto/Magazine/article1439917.ece
Whishaw thinking | The SUNDAY TIMES MAGAZINE
by Chrissy Iley 3 August 2014

 主演映画‘Lilting’が8/8からUKとアイルランドで公開される。それにともない、『サンデー・タイムズ・マガジン』に長いインタビューが掲載された。有料サイトで登録が必要だけれど、トライアル登録してすぐ解除することも可能。



UKでは紙版が売られている。

‘MOJO’の取材は初舞台が話題だったルパート・グリント君と、ダニエル・メイズさんが中心で、3月のBFI Flareの‘Lilting’Q&Aもキャスト・スタッフみんなでの登壇だった。ひさしぶりの単独ロングインタビュー、嬉しい。さっそく登録して読んだ。

※以下、翻訳ではありません。順番は元の通りではなく前後の入れ替えもあり、全体として意訳、要約、私見がたくさん入り込んだ「記事を読んだ感想文」になっています。正確な内容を知りたい方は原文をご確認ください。

「ぼくがなぜカムアウトしたか」というインタビューの全体タイトルは、ことさらに耳目を集めようとする誇大宣伝だったと思う。この設問への具体的な答えはない。しいて言えばうしろのほうの、「ただそうなったというだけで、公表するのはいいと思った」"It was something that happened and I was happy to talk about it"という、話の流れのなかのぼんやりした発言がそれにあたるだろうか。――昨年のちょうどいまごろ爆発したあの報道が、ほんとうに本人の意向に沿ったものだったのかどうか気になっていたので、経緯はどうあれそれでいいと思ったのならほっとする。

※8/5追記 ほかの方のツイートを拝見してあらためて。ご両親に打ち明けたときの「そうせざるを得なかった(から)」と、下に書いた「みんながそれぞれのタイミングでしなければならないこと(だから)」、というのもあてはまるのかもしれない。でも、映画のなかの描写に関連して出てくることばだったりするし、やはりwhy I... への答えではない……。煽りとは完全にずれている。

※8/20さらに追記 ライターさんご本人のサイトに、編集が加えられる前の完全版がアップされた。相当に手が加えられていたことがわかり、掲載版で引っかかったところがかなり解消される。猫のこととかちょっとした描写も可愛らしい。素晴らしい。







 さらには、カットされた部分に「来年アルメイダシアターでお芝居に出る」という情報が含まれていた。劇場からはまだ正式なアナウンスがないので確定情報待ち。実現したら嬉しい!


 インタビュアーは‘Lilting’で彼の演じるキャラクターのリチャードと、ウィショー本人をダイレクトに重ねて見るところから話を始める。登場人物の状況に引き寄せて、役者本人のアイデンティティみたいなものを引き出そうとしているように感じる。「演技がすごく自然だったので、役者本人の言葉のように感じた」「この役がゲイだから選んだのですか?」だなんて。いきなりのこの切り口はちょっといただけない……。彼の過去のインタビューからは、役と素の自分を結び付けられたくないという考え方が見えるし、今回もやはり「演じるということは、自分とはまったく別の人間に変化すること」と強調している。

 繰り返しそんな問い方をされても、答える彼は、おそらく自分で引いた一線を崩さずに話を続けていく。この役を選んだ理由については「脚本の繊細な筆致が良かったから。親密で静かなところがすごく好きになったから」。親しい誰かにセクシュアリティを話すとはどういうことなのか、映画にからめて個人的な体験を聞かれると、いつどこで誰にどうやって、みたいな具体的なことには触れず、それがどれほど重大で難しいことか、というような「みんなの話」として答える。自分の場合は映画のようには「ドラマティックじゃなく、みんなびっくりするほどやさしかった」「(リチャードと)同じように、おそれを感じた」「勇気がいるけれど、みんながそれぞれのタイミングでしなければならないこと」……。

――これはたぶん、いまこの瞬間に、勇気付けることばを必要としている世界のどこかの誰かにむけて言っているんじゃないかな、と思った。そもそもあえて公表した理由も……このくだり全体の背景にあるのかな、と。そんなふうには言ってないけど、そう読める。

 あいかわらずコンピュータは持ってない。濃くてワイルドな自分の髪をずっと嫌いだった。いまは「前より気に入ってきてる」(笑)。若いころはぜんぶ剃ってしまっていたけど、よけい濃くなった気がする(笑)。自ら作品を書いている(!)。写真はあいかわらず好きだけど、撮ったものはひとには見せない。矛盾を抱えたままであること、グレーな部分を保ち続けること。誰でもそうだし、そういう物語が好き。――この話がすごくよかった。ひょっとしたら、自分で脚本を書いたり監督したりはまだ先の話と思うけど、彼が中心になって立ち上げたプロデュース作品はいずれ遠くない将来に見られるのかもしれない。あいまいで美しい物語になるのかもしれない。楽しみ。

 ポートレートは可愛い。いつものように可愛い。髭可愛い。黄色いふわふわのセーター可愛い。フォロワーさんに「パディントンベアの色」って言われて「ああっ!」ってなった。コスプレ!?(笑)
 
 作品の内容や演じることについては深く真摯に答えようとするけど、私生活の詳細は明かさないし、話したくないことには答えないし、やりたいことだけやる、できるだけそうしていきたい、という態度はきっと変わっていない、と思う(憶測だけど、この一年は個人インタビューに答えるというのはやりたいことじゃなかったんだろう)。一線を引いて動じない彼が結果的に素敵だ。記事としての視点や切り口、煽りの付け方はやっぱり引っかかるけど……。そしてタイトル通りの部分だけが抜き出されて回ってるのが気になるけど……。それでも読んでよかった。
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2014年03月13日

『ブライト・スター』日本版DVDが5月よりレンタル開始! とカンヌ映画祭プレスリリース

 

 

http://store.tsutaya.co.jp/item/rental_dvd/162538109.html

 日本の映画館で公開されたもののなぜかDVDソフトが出ないでいた出演作『ブライト・スター』が、TSUTAYA発掘良品ラインナップより5月からレンタル開始。まずはうれしいニュース。UK版DVDを持ってるけど、ずっと手元に置きたい作品だし、このシリーズはセル版が遅れて出ることもあるようなので、期待して待ちたい。ぜひ特典映像の類も収録してほしいな。
 
●2009年カンヌ映画祭プレミア時のプレスリリース

http://www.festival-cannes.fr/assets/Image/Direct/028924.pdf

 同作品のPDFファイルがネット上に残っていた。監督のことばやキャスティングについて、ウィショー君自身のコメントなどいろいろ載っていてとても興味深い。
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posted by rico at 11:32| Comment(0) | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月25日

「MOJO」に関する発言、2013年11月

「MOJO」はいずれ劣らぬオールスターのアンサンブル作品で、「ハリポタのロンが舞台デビュー!」という話題性があるせいか、メディア露出はSWEETS役のルパート・グリント、あるいは脚本・演出各氏のインタビューが多いようだ。ベン・ウィショー単独の取材はいまのところ見かけていない。意図して避けているのかそうでもないのかいまのところ不明だけど、そんな状況からこぼれてきた彼の発言を読んでみる。

 まず2013年11月4日の「ガーディアン」紙、稽古場取材。記事のメインは演出&脚本インタビュー。

 ウィショーはRADA[王立演劇学校]時代にSKINNYを演じているが、BABY役に格上げされるチャンスに飛び付いた。「ぜひやりたいって、即答でした」彼はもの柔らかにいう。「ぼくらはまだ、どんなふうに作るか考えているところです、ほんとうのところ。ベイビーは壊れた人物ですけど、でもその一方で、全員が傷を負った男たちなんだと思います」
Jez Butterworth recovers his Mojo by Ryan Gilbey / The Guardian, Monday 4 November 2013


 彼のスキニーも見てみたかった。スキニーとベイビーの関係は作中でも重要で、興味深い「卒業」。ちなみに1995年初演のときスキニーだったエイダン・ギレンも97年映画でベイビーに昇格しているらしい。

 つぎはプレスナイト11月13日の翌日に更新されたBBCの記事から。

「ぼくは内にこもった、ちょっとシャイな人物を演じることが多いです。今年の前半には“Peter and Alice”のピーター・ルウェリン=デイヴィスを演じました。すてきな役ではありましたけど、そのあとには何かまったく異なる役をやる必要があるとわかってました。["MOJO"で]ぼくの演じるベイビーは一見して外向的で、最初のうちは喜劇的なキャラクターに見えます――でも、話が進むに連れて、彼は曖昧になっていくんです。だから、これはぼくのなかの何か違う部分を探求するチャンスでした」

「でも演じるときは彼をサイコパスの型にはめないように心がけています。見るひとに、ほんものの人間がそこにいると認識してもらいたいから。ジェズの書くすこし激しいせりふはこの過程をほんとうに助けてくれます。すごく濃厚なことばが、観客を誘い込んでくれるんです」
Jez Butterworth's award-winning Mojo revived in West End by Vincen Dow, bbc.co.uk / November 14th 2013


 ベイビーは、やっていることやことばづかいは妙にこどもっぽくて浮世離れしていて、現実との接点を失ってしまっているようにみえる。なのに、舞台の上で起きていることだけじゃなく、ずっとその背後にある、長い過去の時間の痛みまでまるでほんもののように伝えてくる。彼の演技の魅力のひとつだと思う。
posted by rico at 18:28| Comment(0) | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする