英俳優ベン・ウィショー(Ben Whishaw)さんに関するブログ

2014年08月16日

新作映画『パディントン』に声の出演(主演!)



 7月18日付で発表。映画‘Paddington’にて、主人公のくまのパディントンの声をベン・ウィショーが担当することになった。コリン・ファースからの交代。おそらく映像は撮影済み。マイケル・ボンドの児童文学『くまのパディントン』シリーズを原作にした新作で、英国では2014年クリスマス公開予定。

 背景はロケ、人間の登場人物は俳優がそのまま演じ、主役のパディントンだけ着ぐるみのモーションキャプチャ+CG加工で描かれるタイプの「実写映画」。ウィショー君が着ぐるみに入るわけでは、ない(笑)。
 
『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵ことヒュー・ボナヴィルとサリー・ホーキンスがパディントンを引き取るブラウン夫妻役。ほかにジュリー・ウォルターズ、ジム・ブロードベント、ピーター・カパルディなど素晴らしい英国のベテラン俳優がぞろぞろ出る。悪役はニコール・キッドマン。監督はポール・キング、プロデューサーはデイヴィッド・ヘイマン。『ハリー・ポッター』のプロデューサーが贈る、というのが売り文句らしい。

 

 キャスト変更発表前に公開されていたトレイラー。なんというか、想像以上に熊っぽすぎる、可愛くない、むしろ怖い、と現時点では全般的に不評。ただ、ここで出てくるのはほとんど唸り声や鳴き声だけで、意味のある言葉を発していないので、どういう感じに出来上がるのかはまだちょっとわからない。原作を尊重する方向性なら、動作は不器用でも、とってもお行儀よくしゃべる子のはずだけど……。

Bond boffin is the new voice of Paddington: Ben Whishaw who plays 007's new gadgets man Q will take over role from Colin Firth
By BAZ BAMIGBOYE
PUBLISHED: 22:35 GMT, 17 July 2014 | UPDATED: 23:19 GMT, 17 July 2014 | MailOnline
 
 第一報はタブロイドの「デイリーメール(メールオンライン)」で、監督、ベン・ウィショーのコメントあり。監督とプロデューサーは原作にとても愛着を持っていて、コリン・ファースの声にも思い入れがあったようなんだけど、製作を進めるうちに「もっとオープンで若い声」が必要だと認めざるを得なくなった。ということらしい。
 
(※デイリーメールというと、不正確な飛ばし記事、盗撮、マイノリティに優しくない基本スタンスなどで非常に問題のあるタブロイドメディアなんだけど、演劇・エンタメ通のライター、バズさんの記事に関しては信頼がおける……とこの一年くらい観察して理解)

 ベン・ウィショーのコメント:
「最初はちょっと抵抗しました。こういった(声優の)仕事にはいい思い出がなくて、自分には向いていないと思ったので。でも説得されて、しぶしぶやることになって」でも実際に始めてみたら考えを変えた――とりわけ、1歳半の姪っ子のために。「あの子が見られる作品に出るのはすごくうれしい。ベンおじさんの声だ、って気づいてくれたら」

 この部分は『パディントン』グローバルサイトのニュースにも「デイリーメールによると」と引用されていた。 それにしても、原作にはまったく縁がなかった、「ダッフルコートに帽子をかぶってることぐらいしか」知らなかったとか、「まったく乗り気じゃなかった」なんて、あいかわらず正直すぎる(笑)。

Paddington Bear to meet his creator in brief encounter on the Tube
by PETER ROBERTSON
Published: 25 July 2014 Updated: 11:25, 25 July 2014 | Evening Standard

 とはいえ原作者のマイケル・ボンドさんも、7月25日付のインタビューで「ベンの仕事はほとんど知らないが、非常に評価が高いのは知っているし、とてもうまくやってくれると思うよ」と発言……なんかお互い様だった(笑)。でも、まあ、おたがいよく知らないところから生まれるケミストリーに期待したい。ボンドさんは地下鉄のシーンでヒッチコック風にカメオ出演しているらしい。

'Paddington' director on the 'sad' departure of Colin Firth
By Clark Collis on Aug 14, 2014 at 1:46PM | Entertainment Weekly

 8月14日付で「エンターテインメント・ウィークリー」にポール・キング監督の詳しいコメントが出た。コリン・ファースの声は「熊っぽく、最高に英国らしく、地球上でもっとも美しい声」で、ぴったりだと思ったのでキャストしたが、それはマイケル・ホーダーンの「朗読と主役の声もやる」ヴァージョンに影響されすぎていたせいだった。コリンがあててみると、ナレーターとしてパディントンのセリフも読むというのとパディントンを演じるというのは違うとわかった。変更は悲しいが、ベンの声はとてもぴったりでパディントンそのもの。「幸せな結婚」のように感じる。


 
 マイケル・ホーダーンのテレビ版「パディントン」(ソフト発売元の公式チャンネル)。可愛い。
 
 ちなみにスティーヴン・フライの朗読CD版もある。これも、地の文と登場人物のせりふを全部ひとりで読むタイプ。とても聞きやすいので予習におすすめ。

(夜追記)

Ben Whishaw interview: ‘The bear is very physical’
By Katie Dailey Wed Aug 6 2014 | Time Out London

 ‘Time Out London’5-11 Aug 2014 に掲載されたベン・ウィショーのインタビューがウェブにもアップされた。『パディントン』の収録についても話している。顔を撮影するカメラのついたヘルメットをかぶって収録しているそう。あとで口や表情の動きを合わせるらしい。呼吸を合わせたりするのがすごく難しい。

 8/8に放送されたBBC4‘Front Row’のラジオインタビューでも、声優は難しい、でも「だんだん熊っぽくなってきてる」と(笑)。

 例によって賛否両論評価が割れそうな作品だが、わたしとしては、彼の声が入って可愛く仕上がるであろうことを疑ってはいない。それは既定路線である。

 以下、公式サイトなど。

総合公式サイト http://www.paddington.com/

映画公式サイト http://www.paddington.com/gb/the-movie/

facebook https://www.facebook.com/paddingtonbear

StudioCanal http://www.studiocanal.co.uk/Film/Details/c4b493e4-c9e9-4245-9759-a31601182eb2

imdb http://www.imdb.com/title/tt1109624/
posted by rico at 16:49| Comment(0) | 作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月04日

「なぜぼくは……」The SUNDAY TIMES MAGAZINE (3 August 2014)(8/20追記有)





http://www.thesundaytimes.co.uk/sto/Magazine/article1439917.ece
Whishaw thinking | The SUNDAY TIMES MAGAZINE
by Chrissy Iley 3 August 2014

 主演映画‘Lilting’が8/8からUKとアイルランドで公開される。それにともない、『サンデー・タイムズ・マガジン』に長いインタビューが掲載された。有料サイトで登録が必要だけれど、トライアル登録してすぐ解除することも可能。



UKでは紙版が売られている。

‘MOJO’の取材は初舞台が話題だったルパート・グリント君と、ダニエル・メイズさんが中心で、3月のBFI Flareの‘Lilting’Q&Aもキャスト・スタッフみんなでの登壇だった。ひさしぶりの単独ロングインタビュー、嬉しい。さっそく登録して読んだ。

※以下、翻訳ではありません。順番は元の通りではなく前後の入れ替えもあり、全体として意訳、要約、私見がたくさん入り込んだ「記事を読んだ感想文」になっています。正確な内容を知りたい方は原文をご確認ください。

「ぼくがなぜカムアウトしたか」というインタビューの全体タイトルは、ことさらに耳目を集めようとする誇大宣伝だったと思う。この設問への具体的な答えはない。しいて言えばうしろのほうの、「ただそうなったというだけで、公表するのはいいと思った」"It was something that happened and I was happy to talk about it"という、話の流れのなかのぼんやりした発言がそれにあたるだろうか。――昨年のちょうどいまごろ爆発したあの報道が、ほんとうに本人の意向に沿ったものだったのかどうか気になっていたので、経緯はどうあれそれでいいと思ったのならほっとする。

※8/5追記 ほかの方のツイートを拝見してあらためて。ご両親に打ち明けたときの「そうせざるを得なかった(から)」と、下に書いた「みんながそれぞれのタイミングでしなければならないこと(だから)」、というのもあてはまるのかもしれない。でも、映画のなかの描写に関連して出てくることばだったりするし、やはりwhy I... への答えではない……。煽りとは完全にずれている。

※8/20さらに追記 ライターさんご本人のサイトに、編集が加えられる前の完全版がアップされた。相当に手が加えられていたことがわかり、掲載版で引っかかったところがかなり解消される。猫のこととかちょっとした描写も可愛らしい。素晴らしい。







 さらには、カットされた部分に「来年アルメイダシアターでお芝居に出る」という情報が含まれていた。劇場からはまだ正式なアナウンスがないので確定情報待ち。実現したら嬉しい!


 インタビュアーは‘Lilting’で彼の演じるキャラクターのリチャードと、ウィショー本人をダイレクトに重ねて見るところから話を始める。登場人物の状況に引き寄せて、役者本人のアイデンティティみたいなものを引き出そうとしているように感じる。「演技がすごく自然だったので、役者本人の言葉のように感じた」「この役がゲイだから選んだのですか?」だなんて。いきなりのこの切り口はちょっといただけない……。彼の過去のインタビューからは、役と素の自分を結び付けられたくないという考え方が見えるし、今回もやはり「演じるということは、自分とはまったく別の人間に変化すること」と強調している。

 繰り返しそんな問い方をされても、答える彼は、おそらく自分で引いた一線を崩さずに話を続けていく。この役を選んだ理由については「脚本の繊細な筆致が良かったから。親密で静かなところがすごく好きになったから」。親しい誰かにセクシュアリティを話すとはどういうことなのか、映画にからめて個人的な体験を聞かれると、いつどこで誰にどうやって、みたいな具体的なことには触れず、それがどれほど重大で難しいことか、というような「みんなの話」として答える。自分の場合は映画のようには「ドラマティックじゃなく、みんなびっくりするほどやさしかった」「(リチャードと)同じように、おそれを感じた」「勇気がいるけれど、みんながそれぞれのタイミングでしなければならないこと」……。

――これはたぶん、いまこの瞬間に、勇気付けることばを必要としている世界のどこかの誰かにむけて言っているんじゃないかな、と思った。そもそもあえて公表した理由も……このくだり全体の背景にあるのかな、と。そんなふうには言ってないけど、そう読める。

 あいかわらずコンピュータは持ってない。濃くてワイルドな自分の髪をずっと嫌いだった。いまは「前より気に入ってきてる」(笑)。若いころはぜんぶ剃ってしまっていたけど、よけい濃くなった気がする(笑)。自ら作品を書いている(!)。写真はあいかわらず好きだけど、撮ったものはひとには見せない。矛盾を抱えたままであること、グレーな部分を保ち続けること。誰でもそうだし、そういう物語が好き。――この話がすごくよかった。ひょっとしたら、自分で脚本を書いたり監督したりはまだ先の話と思うけど、彼が中心になって立ち上げたプロデュース作品はいずれ遠くない将来に見られるのかもしれない。あいまいで美しい物語になるのかもしれない。楽しみ。

 ポートレートは可愛い。いつものように可愛い。髭可愛い。黄色いふわふわのセーター可愛い。フォロワーさんに「パディントンベアの色」って言われて「ああっ!」ってなった。コスプレ!?(笑)
 
 作品の内容や演じることについては深く真摯に答えようとするけど、私生活の詳細は明かさないし、話したくないことには答えないし、やりたいことだけやる、できるだけそうしていきたい、という態度はきっと変わっていない、と思う(憶測だけど、この一年は個人インタビューに答えるというのはやりたいことじゃなかったんだろう)。一線を引いて動じない彼が結果的に素敵だ。記事としての視点や切り口、煽りの付け方はやっぱり引っかかるけど……。そしてタイトル通りの部分だけが抜き出されて回ってるのが気になるけど……。それでも読んでよかった。
posted by rico at 09:51| Comment(0) | インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする